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| 三菱化学病院パーキンソン病療育センター長 井上 尚英 氏に聞く |
手足の震え、筋肉のこわばり、動作が鈍い、転びやすいなどの症状を呈すパーキンソン病。ここ三十年間で、その治療を取り巻く環境は目覚ましく進歩し、今や重篤な合併症が起きなければ天寿を全うできる病気とまでいわれているという。この分野の専門家である井上尚英氏にその最新事情を聞いた。
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〜十年後、二十年後を見据えた質の高い医療を提供〜
『パーキンソン病』治療最前線
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−パーキンソン病とは。 【井上】 パーキンソン病は中脳にある黒質という部分で「ドーパミン」という神経伝達物質を作る神経細胞が加齢とともに減少して起こる病気です。ほとんどが老化現象で起こるとされており、実際に四十歳を過ぎると年を取るにつれて発病者の数が増加する傾向にあります。わが国では現在、人口十万人に対して少なくとも百三十人の患者がいるといわれており、高齢者人口の増加に伴い今後さらに増えていくことが予測されています。
−治療について。 【井上】 パーキンソン病の治療には薬物療法・リハビリ・外科的治療があり、中でも最も重要な位置を占めるのが薬物療法です。薬物療法では減少したドーパミンまたはその作用を補充することを主軸に症状の改善を図ります。ここで大切なのは症状を抑え日常生活の支障をできる限り軽減し生活の質の向上を図ることはもちろん、十、二十年という長期的展望で治療計画を立て多少の修正を加えながら円滑に軌道に乗せていくこと。従って発病年齢や主要症状、日常生活の支障の程度をみながらどの薬をどの量から始めていくか、またどの薬を追加していくかが重要な治療戦略となります。治療は、若い人にはパーキンソン病の最も基本的な治療薬である「レボドパ」を最初から投与せずドーパミンの作用を強化する「ドーパミンアゴニスト」という薬から開始し、高齢者では最初からドーパミンのもととなるレボドパから開始するのが一般的です。ドーパミンを作る神経細胞の減少を抑え神経症状の悪化を遅らせる神経保護剤を、どの時期からどの組み合わせで投入するかも大事なポイントですね。またレボドパは治療を開始して数年間は非常によく効きますが、その後薬の効いている時間は短くなります。(ウェアリング・オフ現象)。この場合、レボドパを時間を決めて分けて服用したりするなどの工夫が必要です。最近ではレボドパの効いている時間を延長する薬も出てきています。
−今後の展望を。 【井上】 当センターはパーキンソン病に関するセカンドオピニオンを提供できるような信頼される医療機関を目指しています。これからも「明るく楽しく堂々と生き抜いていこう」をモットーとし、患者とその介護者、ケアマネージャーなどの医療担当者と三位一体となって常に国際レベルの最善の治療を維持・推進していきたいですね。 (〜 2月17日 西日本新聞より抜粋 〜)
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